使える弁証法
- 作者: 田坂広志
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2005/11/25
- メディア: 単行本
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「弁証法」がどれほど使えるか、という本だと思って買ったのですが、ちょっと異なる内容でした。
どちらかというと、「弁証法で未来が予測できる」という内容の本です。著者によれば、世界は弁証法的に発展するといいます。世の中では、進歩発展の中で、一度失われたものが復活することがあります。例えば、メールがそうです。電話の普及とともに失われた文字による伝達が、インターネットの発達によって復活したわけです。このような、ある種螺旋的な発展などは、弁証法の基本である「正→反→合」という論理展開と似ているわけです。
すなわち、弁証法的な考え方を知っていれば、世界の発展の仕方が予測できるというのが著者の意見です。
弁証法というと、相矛盾する事項を止揚して、よりよい方法を考える、一種の思考法と認識していたのですが、著者のように考えると、確かに世界の変化を察知するためのツールとしても使えるような気がします。
それから、本の終りの方で、余談的ではありますが、ちょっと興味を引くことが書かれていました。
著者によれば、21世紀は、西洋思想(正)と東洋思想(反)の対立の中から、新たな思想(合)が止揚されるといいます。
しかも、これができるのは、両方の思想を知っている日本なのではないか? というのです。
まあ、実際のところ、どっちにも中途半端で、とても止揚などできないような気もしますが(^^; 世界の中で担うべき日本の役割を考える上で、検討に値するものなのではないか、とも感じます。