Pogoplugを購入&設置してみた
何だか先週末くらいから急にネット上を騒がせ始めた、Pogoplug。私もそれまでその存在すら全然知らなかったのですが、情報を見るとなかなか面白そうな製品。
ASCII.jp:オンラインストレージを自作できる「Pogoplug」日本上陸!
「60秒で利用可能」--Cloud Enginesが個人向けクラウド製品「Pogoplug」を国内発売 - CNET Japan
http://www.pogoplug.com/home-ja.html
要は自分の手持ちHDDをネットに接続し、クラウドファイルサーバとして使えるようにするというもの。
それ自体は特に珍しいものではなく、以前から同様のことは可能でしたが、Pogoplugのポイントは、それが非常に簡単にできるという点。「箱を開けて60秒」なんて書かれてもいますしね。
通常、自分のHDDをファイルサーバとしてネット上に晒そうとすれば、固定IPアドレスがどうのとか、DMZの設定がどうのとかいろいろ面倒な作業が必要になりますが、Pogoplugではそれが全く必要なし。本体をルータに接続し、PCのブラウザから「My Pogoplug」にアクセスしてユーザ登録すればそれだけで使えるようになってしまうというのがウリです。
仕組みについてはあまり細かいところは詳しくないのですが、Pogoplugに接続したHDDにアクセスできるのはMy Pogoplugのサーバのみで、ユーザはMy Pogoplugのサーバを経由して、HDDの情報を取得するというもののよう。中間サーバを介することで、HDD側で面倒な設定をすることなくネットにデータを公開できるようにしているようです。*1
USBHDDを最大4台まで接続でき、価格は9,800円と比較的お手頃。別段、SugarSyncの5GBで全く困っていないのですが、大容量オンラインストレージを簡単に構築できるのも面白そうでしたし、同一ローカルネットワーク内でのアクセスではインターネットを介さずNAS的に使用できるという点も便利そうだったので、「本当にそんな簡単に使えるのか」という点も含め、興味本位&人柱的に、発売当日の4日に購入してしまいました(^^;
仕事帰りに、某ビックカメラで購入したのですが、当初売場に行ったときにはワゴンの上にパンフが置いてあるだけで現物がなく、まさかもう売切れかと思っていたところ、店員さんが新たに2箱持ってきてワゴンに置いたので、慌てて購入(^^; 在庫がなかったというわけではなく、無くなる度に逐次投入していたようです。
Pogoplugを導入してみる
買ってきた当日に繋ぐつもりだったのですが、いろいろあってその日は接続できず*2、翌日仕切り直して作業を行いました。
一応、開封写真を撮ったので参考に。
外箱。ピンクな色はあえて狙っているらしいです。
内箱。さらにピンク(^^;
内箱を開けたところ。この冊子は、いわゆる「必ずお守りください」というやつなので、内容はほとんどありません。これの最後のページが保証書になっています。
本体。ピンクバージョンではなく、黒バージョンでした。
内容物。本体のほか、電源ケーブルとLANケーブルが入っています。電源はACアダプタタイプではないんですね。
本当はこれ以外に「スタートアップガイド」が入っているはずらしいのですが、私のには入っていませんでした(^^; まあ、なくてもあまり問題ありませんでしたけど(^^;
とりあえず、Pogoplugを電源およびルータに繋ぎ、USBポートにHDDを接続。PCでMy Pogoplugサイトにアクセスし、アクティベーションからメールアドレス、パスワード、ニックネーム(任意)を登録すると、セットアップ作業が始まります。セットアップのステップは全部で7段階あるのですが、「Pogoplugをコンセントに差し込む」から始まるステップですので、既にPogoplugをルータに接続してあれば、実際の作業は「Pogoplugの認識」だけで終わってしまいます。無事PogoplugがMy Pogoplugから認識されれば、アクティベーションは終了。無事、HDDの内容を見ることができるようになります。
一度アクティベーションしてしまえば、次回以降はMy Pogoplugでメールアドレスとパスワードを入力することで、HDDのデータにアクセスが可能になります。
My Pogoplug、標準の表示は英語ですが、画面右上メニューの「English」とある場所をクリックすると、日本語に変更できます。*3
My Pogoplugの使い方は、クリックでプレビュー、右クリックまたはマウスカーソルを乗せると表示されるアクションで、ダウンロードや削除、共有、名前の変更が可能。現在位置は上部にパンくずリストとして表示されます。ファイルのアップロードは下部のボタンで実行。
左側には各種カテゴリフィルタ。その下に現在接続されているHDDが表示され、その右側の▲をクリックすることでドライブのアンマウントができます。
各種アプリ
メニューのダウンロードから、PC用、iPhone用、Android用のアプリをダウンロードすることができます。iPhone用、Android用は、App StoreやMarketからもダウンロード可能です。
PC用アプリ
PC用アプリをダウンロードしてインストールすると、PogoplugがPドライブとしてマウントされ、エクスプローラから直接アクセスできるようになります(HDD本体はその下のフォルダになります)。設定により、My MusicやMy Photoフォルダの内容をPogoplugのHDDに自動的にコピーするようにもできます。
Android用アプリ
Android用アプリは、ダウンロード、アップロード、ストリーミング再生などが可能。ファイルタップはプレビューorストリーミング再生、長押しでメニューが表示され、ダウンロードなどが選択できます。ちなみに、ダウンロードしたファイルは、「保存されたファイル」から見ることができますが、/sdcard/pogoplugに保存されるので、ファイルマネージャなどがあれば直接操作することも可能。
とりあえず一通りの作業はできますが、まだまだいろいろ直してほしい点が多々あります。例えば、
- 横画面には対応していない。*4
- mini proのように解像度が低いマシンだと、音楽ファイルのストリーミング再生画面で停止ボタンが画面に入りきらなくて操作できず、アプリを強制停止させる以外に音を止めることができない。
- ファイル名長押しでメニューが出るファイルと出ないファイルがある。*5
- さらに、すべてのファイルについて、長押ししてもメニューが出なくなることがある。
- 「ビデオ」「写真」といったカテゴリからファイルを閲覧しようとしても、ファイルが表示されない。
- 動画のストリーミング再生の画質が悪くて、使いものにならない。*6
といった点。今後のアップデートに期待します。できればSugarSyncアプリ並みに多機能になってくれればなあ。
NASとしての利用
前述のとおり、Pogoplugは同一ローカルネットワーク内であれば、インターネットを経由せずにローカル内だけで接続されることになっています。実際使ってみても、ローカルネットワークから直接アクセスした場合には、ルータのWAN側等が動作していない様子。アクセス速度もWAN経由に比べれば速いので、そこは間違いないようです。
SugarSyncなど通常のクラウドストレージだと、すぐ隣にあるマシンとデータをやり取りしようと思っても必ずインターネット経由となるわけですから、それに比べれば便利だなと思います。
プリンタの接続
さらにPogoplug、HPとEPSONのプリンタを繋げて共有できるということで期待していたのですが、残園ながらうちのHPプリンタを繋いでも認識してくれません。ググったところ、どうやら2005年以降発売のものにしか対応していないとのこと。調べてみたらうちのプリンタは2004年製でした(^^;
まあ、プリンタの共有といっても、よくよく調べてみると、Pogoplugに繋いだHDDに保存されているデータしか印刷できないようなので、どちらかというと、Pogoplugに印刷実行命令を送ることができる機能と考えた方がいいようです。
でも、これを使えばiPhoneやAndroidからも印刷ができたのでちょっと残念。
動画のストリーミング
Pogoplug、動画のストリーミング再生は、標準設定では最初の10秒だけが可能です。これは、My Pogoplugの設定から、「メディア設定」の「再生用にビデオ・ファイルを最適化する」を「自動的にトランスコードする」にすることで、フル動画をストリーミング再生する設定に変更可能です。
ただし、ストリーミング再生用のデータは、My Pogoplugサーバが別途バックグラウンドで再エンコードして作成するので、データをHDDに入れても、ストリーミング再生できるようになるには結構時間がかかります*7。
Pogoplugが変換したストリーミング用のデータは、接続したHDD内には保管されないようなので、おそらく、本当のクラウドサーバ内に保存されているものと思われます。ルータの挙動を見ても、動画のストリーミング再生の場合だけは、インターネットに接続しているようですし。
前述のとおり、iPhoneはストリーミング再生でしか動画を再生できないので、iPhoneでフル動画を再生しようと思えば、上記のとおり設定を変更して、フル動画を変換させる必要があります。Androidの場合は、動画のストリーミング再生が使いものになりませんが、動画ファイルをダウンロードして再生させることができるので、あえて標準設定のまま、最初の10秒だけ再生させる設定でもいいかもしれないと思います。
問題点とか
個人的に一番の問題点は、Androidアプリの挙動がまだまだ怪しいという点。安心して使えることが一番なものなので、もう少し動作を安定させてほしいです。
また、時折、PogoplugがHDDを認識しなくなることがあります。しかも、昨日一日だけで2回も。1回目の時はHDDのUSBを差し直したら復旧しましたが、2回目はPogoplugの電源を抜いて再起動させなければ復旧しませんでした。HDDの相性問題かもしれませんが、この点も常用するにはちょっと心配です。まあ、昨日は買ったばかりでいろいろ実験したせいもあるかもしれませんので、暫くは様子見かなとは思いますが。
それから、これはやむを得ないかなとは思いますが、PCアプリによりマウントされたPogoplugのHDD、休止状態などに入ると接続が途切れてしまうようで、休止状態復帰後に、タスクトレイに常駐しているアプリからPrefrencesを開き再接続しないと使えなくなってしまいます。これも自動的に接続が復帰すると便利なんですけど。
セキュリティ面でちょっと気になったのは、標準設定では、PogoplugとのセッションにSSLが使われていない点。そこはやはりSSL通信にしておいた方がいいような気がします。具体的には、My Pogoplugの設定から、「セキュリティー設定」の「セキュリティー・セッションをフル活用」にチェック。*8
何に使うか
今回、Pogoplugに繋ぐに当たり、新たに1TのHDDを購入して繋いでみました。買ったのはこちら(実際にはこれをエレコム名義で売っているものを購入)。まあ、何でも良かったのですが比較的安かったので。
LaCie 3.5インチ 外付ハードディスク 1TB LCH-DB1TU
- 出版社/メーカー: ラシー
- 発売日: 2010/01/05
- メディア: Personal Computers
- 購入: 9人 クリック: 578回
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しかし、実際のところ、特段中に入れるものがありません(^^; まあ、SugarSyncに入っているデータですら1GBありませんし。自分の全データをかき集めたバックアップHDDからして、500GB行かない状況。ということは逆に言うと、自分の持っている全データをオンラインストレージに上げることができるということですが、それもいろいろな意味でちょっと(^^;
一つ考えているのが、iPhoneやDesire Zで撮った画像をどんどん送り込んでしまうという使い方。よく、Evernoteでそういう使い方が推奨されますが、Pogoplugを使えば、Evernoteのように容量を気にしなくていいので、どんどん送り込めるかとは思います。
その際に難点なのは、現在のアプリでは、ファイルのアップロードが1つずつじゃないとできないことですね。SugarSyncみたいに撮影した画像の自動バックアップ機能があると便利なんですけど。
後は、動画や音楽をいっぱい入れて、ストリーミング再生させるとかでしょうかね。
まあ、今回は導入してみることに意義があったので、使い方はおいおい考えていきたいと思います(^^;
*1:中間サーバ経由となると情報漏洩とか気になってしまいますが、まあそれは通常のクラウドを使っていても同じ話なので、どこかで割り切るしかないんだろうと思います。
*2:コンセントの数が足りず、押し入れからソケットとか探し出すだけで力尽きたとか、あまり大きな声では言えない(^^;
*3:アクティベーション時の表示も、基本英語なのですが、それが日本語に変えられるかどうか確認しないまま作業してしまったので不明(^^; どうも下の方にそれらしいメニューがあるようですが。
*4:dynabook AZでも動くことは動くが、操作は大変(^^;
*5:具体的には、音楽ファイルを長押ししてもメニューが出ないのだが、もしかして仕様なのかも。
*6:Desire Zの場合。ダウンロードした動画の再生は問題なくできるので、ストリーミング用に再エンコードされたファイル形式の問題か、アプリの再生方式の問題と思われる。ちなみに、mini proではそもそも再生すらできないが、これはやむを得ないだろうなあ。
*7:MP4を1MB変換するのに1〜2分かかている感じ。
*8:なお、この設定を行うと、AndroidのブラウザではMy Pogoplugへのアクセスすら出来なくなるようです。まあ、アクセスできたとしても、そもそもほとんど操作できないですし、とりあえずアプリがあるので問題はないと思います。