巡音ルカの調整に関する私的考察
(別エントリにしました)
ミキシングに予想外の労力を費やしてしまいましたが、本来、この小品を作った目的は、ルカ調整の実習。それについては自分的には満足する成果が得られたかなと思います。
今回特にチェックしたかったのは、ルカの声の音量調整をDYNを使わずBRIだけでできるかという点と、パーカッシブと言われる歯切れ良いルカの声を伸ばす方法があるかという点。それぞれちょっとだけ詳述してみます。
DYNを使わずBRIだけで音量調整できるか
結論としては、「ほぼできる」です。ルカの声はミクより音ごとの強弱の差が激しくないので、DYNで大きく調整する必要は少なく、BRIだけで大体調整できます。それでも、BRIで調整すると音がこもったようになってしまうような場合や、子音が強くてBRIだけでは調整できない場合などには、DYNを調整する必要が出てきますので、それならDYNだけで調整してしまった方が楽かもしれません。
ただ、BRIを使うと強弱だけでなく雰囲気も加えることができますし、曲の流れの中で音が小さいところと大きいところがあるような場合(Aメロは小さくサビは大きくなど)、その調整にDYNを使い、BRIで個別の音の調整を行うというやり方もあるかと思います(DAWで音量自動調整させるという方法もありますが)。
その辺は、曲調や個人のスタイルということになるのかもしれません。私としては、BRIで調整の方がルカの特長を出せるような気がするので、そちらを多用してみようかと思います。
ルカの声を伸ばす方法
ものの本によると、ルカの声はパーカッシブだそうです。要は出だしの音が大きくて余韻が少ない、打楽器のような声だということですね。実際、ルカにすっぴんで歌わせると、長く伸ばす音はともかく、短い音は非常に短くなります。特に、中途半端に短い四分音符などはかなり気になります(具体的には、ほぼすっぴんの「ルカ版STARBOW」をお聴きいただければ)。
曲調によっては、このパーカッシブなところがぴったり填ることもありますが、いつもそういうわけにはいきません。今回の曲もどちらかといえばしっとり系なので、あまり音が強いのは困ります。そこで、いろいろ考えて実行してみました。
その1・BRI・DYNで右上がりの線を描く
出だしが強く余韻が短いということは、音量の線が急激な右下がりの曲線になっているということですから、それを補正するために逆の線、すなわち最初が小さく最後が大きい右上がりの線をBRIやDYNで描いてやれば、ある程度補正されます。
声を丸くする方法としては基本のテクニックですが、これだけで補正しきれることはあまりないので、以下のテクニックと併用する必要があります。
その2・母音を分割する
例えば、「たー」なら「ー」をちょっと短くして、「たーあ」という2音に分けるという方法。これはかなり強力で、例えば、「たー」の最後の方ちょっとだけ(16分音符分程度)を「あ」にすると、きっちり伸びてくれます。逆に伸びすぎるくらいなので、個人的には、「た」と「あ」の比率を1対1(半分半分)か2対1(最後3分の1だけ母音)程度で使うのが綺麗かなと思います。
注意が必要なのは、最後に付ける母音の長さがあまり短いと、その次に来る音の子音に影響が出ること。あまりに短くすると次の音の子音が短くなり、結果、音が詰まって強くなったり変な音になったりします。
なお、母音分割のその他の効用については、ルカを使い出したばかりのころにも言及したことがあるので、よろしければご参考に→こちら。
その3・最後に「ん」を付ける
上記のとおり、母音を最後にちょっと付けると長く伸びすぎる場合があるので、その際、母音の代わりに「ん」を付けてみると、綺麗に填ることがあります。音によってうまくいく場合といかない場合があるので、試してみないといけないのが難点。また、曲調によって「ん」が使いづらい時もあるかと思います。今回の曲は、ちょっと甘ったるい感じを出したかったので、「ん」を多用してみました。それでもやはり使えるときは限られてしまっていますが。
なお、「ん」を使った場合の福次効果として、その後に来る子音の音が少し「まろやか」になる場合があります。まあ、これもやってみないと分かりませんが。
その4・英語で歌わせる(未確認(^^;)
これはやってみたわけではないのですが、ものの本によると、ルカは英語の方が音が滑らかだそうなので、あえて英語で歌わせるという方法は最後の手段としてあるかもしれません(^^;
以上、思いつくままに。
いろいろ書きましたが、ルカにはルカの特長があるので、まずはそれを活かすことを考えた方がいいだろうと思います。その方が楽ですし(^^; その上でどうしても妥協できない部分があれば、いろいろ調整していくことになりますが、その際は上も参考にしていただければ幸いです。